2014/11/30

「どんぐりマップ」の作成にご協力お願いします。/千葉市民放射能測定室「しらベル」より


しらベルでは来春発行のニュースレターの特集として「どんぐりマップ」を作成するため、スタッフが各地のドングリを採取して測定しています。
お近くの公園などのドングリを事務所にお持ちいただければ、無料で測定いたします。遠方の方は申し訳ありませんが、送料負担となりますが、お送り頂ければ結果をご報告いたします。
応募条件
どんぐり原形の状態で1リットル以上(割れていたり潰れたものは避け木の葉やゴミを取り除いて下さい。)用意でき
採取場所は◯◯市、◯◯区、◯◯町まで公開(採取者の個人名や詳細な番地などは非公開)という条件に同意できる方。
地域は千葉県に限定しません。
(郵送の場合は送料のご負担をお願いします。原則として測定したドングリは当方で廃棄します)
応募期間 2014年12月16日着まで
結果は個人宛てにご連絡いたしますがニュースレターやブログでもお知らせいたします。

http://sirabell.blog.fc2.com/blog-entry-157.html





福島県でなぜ「ガン死」が増加しているのか?~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害~第2回「宝島」より

先月号(『宝島』10月号)に掲載した福島県内で急増する「急性心筋梗塞」のレポートは各方面から反響を頂戴した。引き続き本号(『宝島』11月号)では、全ガン(悪性新生物)の死亡者数が、これも増加傾向にある背景について検証する。

■小児甲状腺ガンはすでに多発している

 前号では、福島県で多発・急増する「急性心筋梗塞」の問題を検証したが、今回は、原発への賛成・反対にかかわらず、関心の的である「ガン」に注目してみたい。
 旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(1986年)の際に多発が確認されたのが、「子どもたちの甲状腺ガン」である。福島原発事故においても、事故発生当時18歳以下だった福.島県民36万7707人のうち、今年6月末時点で57人の子どもが甲状腺ガンと確定した。甲状腺ガンの疑いがある者まで含めると、実に104人(良性結節1人も含む)に及んでいる。
地図A 文字有 地域別の発症率を見ると、福島市などの「中通(なかどお)り」が一番高くて10万人当たり(注1)36.4人。次いで、いわき市などの「浜通(はまどお)り」が同35.3人。原発直近の「避難区域等」が同33.5人。一方、原発から80キロメートル以上離れた「会津地方」は最も低く、同27.7人だった。放射能汚染の度合いが高い「中通り」と、相対的に低い「会津地方」では、同8.7人もの地域差がある【地図A】。
 しかし、小児甲状腺ガン調査を担当する福島県立医科大学はこの地域差を、
「被曝の影響とは考えにくい」
 としている。すでに地域差が表れている点についても県立医大は、会津地方では精密検査が終わっていない子どもたちが多く、甲状腺ガンと診断される子どもが今後増える可能性があるとして、
「地域別発症率に差がない」
 と、かなり強引な解釈をしている。
 また、被曝の影響を最も受けやすいと見られる0~5歳で甲状腺ガンの発症がまだ一人も確認されていないこと(現時点での最年少患者は6歳)を、県立医大はことさら重視し、調査が進むにつれて甲状腺ガン患者が増え続けていく現状についても、
「被曝の影響とは考えにくい」
 と、オウム返しのように連呼している。
 ともあれ、彼らの主訴は、
“福島県で原発事故による健康被害は発生していない”
 ということなのであり、「考えにくい」のではなく、安定ヨウ素剤を子どもたちに飲ませなかった責任を追及されるのが怖い──という本音が見え隠れしている。
 そもそも、県立医大の期待どおりに会津地方でも小児甲状腺ガンが増えていくかどうかは不明である。それに、原発事故による放射能汚染は会津地方にも及んでおり、会津地方でも発症率が高まることが、直ちに被曝の影響を否定することにはならない。
 国立ガン研究センターの「地域がん登録全国推計値」によれば、子どもから大人までを含む全年齢層における甲状腺ガンの発症率は、10万人当たり年間7~8人だという。また、事故当初、甲状腺の専門医らは、通常時における小児甲状腺ガンの発症率は「100万人に1~2人」(=10万人当たり0.1~0.2人)だと、マスコミ等を通じて説明していた。
 これらの数字に比べると、福島県の子どもたちだけで「10万人当たり30人以上」という調査結果はかけ離れて高く、まさに「多発」と呼ぶに相応(ふさわ)しい。福島県は原発事故以前から「小児甲状腺ガン多発県」だったという話もない。

(注1)この「10万人当たり」は、人口を分母にしての値ではない。この値を求める計算式は、分母を「1次検査の受診者数」として、分子が「甲状腺ガンやその疑いがあると診断された者の数」である。「中通り」の場合、受診者数が16万7593人で、甲状腺ガン患者数が61人なので、61÷16万7593×10万人=36.39…となり、小数点以下第2位を四捨五入して「36.4人」になる。

■福島県で増えているガンは「甲状腺ガン」だけではない

 山下俊一・長崎大学教授(現・同大副学長)も内閣府原子力委員会のホームページで書いているように、チェルノブイリ原発事故では発生の1年後、高汚染地域(ベラルーシ共和国ゴメリ州)で4人の子どもたちに甲状腺ガンが発症している。ゴメリ州の甲状腺ガン患者は、2年後に3人、3年後に5人、4年後には15人と増え、その後は爆発的に増加し、98年までに400人を超えるほどの多発状態に陥っていた。
 米国のCDC(疾病管理予防センター)では、2001年9月の世界貿易センター事件(同時多発テロ事件)を受け、ガンの潜伏期間に関するレポート『Minimum Latency Types or Categories of Cancer』(改訂:13年5月1日。以下「CDCレポート」)を公表している。これに掲載されている、ガンごとの潜伏期間を短い順に示すと、
【白血病、悪性リンパ腫】0.4年(146日)
【小児ガン(小児甲状腺ガンを含む)】1年
【大人の甲状腺ガン】2.5年
【肺ガンを含むすべての固形ガン】4年
 などとなっている。
 小児甲状腺ガンの潜伏期間は1年ほどということになり、前掲の山下報告とも矛盾しない。県立医大の唱える「発ガンは原発事故発生から4年目以降」説など、CDCからは全く相手にされていないのである。
 にもかかわらず県立医大は、一見して多く見えるのは無症状の人まで調べたことによる「スクリーニング効果」によるものであり、将来発症するガンを早めに見つけているに過ぎない、などと頑(かたく)なに主張している。
 だが、こうした「スクリーニング効果」説は、科学の定説として確立している話でもなく、単なる仮説に過ぎない。
 実は、チェルノブイリ原発事故でも「小児甲状腺ガンのスクリーニング」が実施されている。
 行ったのは、前出の山下・長崎大教授らである。小児甲状腺ガンの発症率を、事故発生当時に0歳から3歳だった子どもたちと、事故後に生まれた子どもたちとの間で比較したのだという。
 その結果は昨年3月、米国放射線防護協会の年次大会の場で山下氏が報告している。それによると、事故発生時にすでに誕生していた子どもたちの間では小児甲状腺ガンが多発していたのに対し、事故の1年後以降に誕生した子どもたち9472人の間では小児甲状腺ガンの発症がゼロだった――というのである。つまり、「スクリーニング効果」仮説は山下氏によって葬り去られていた。
 それでも「スクリーニング効果」仮説に拘(こだわ)り続けるという皆さんは、福島原発事故の1年後か2年後くらいに生まれた福島県の子どもたちに対し、山下氏がやったのと同様の「小児甲状腺ガンのスクリーニング」を行い、現在の「多発」状態と大差ない発症が見られることを実証しなければなるまい。

 それに、原発事故後に福島県で増加が確認されているガンは、何も甲状腺ガンだけではない。
表1 【表1】は、事故翌年の12年に福島県内で増加した「死因」を、国の人口動態統計をもとに多い順から並べたものだ。
 このワースト10には、「結腸の悪性新生物」(第2位。以下「結腸ガン」)と、すべてのガンの合計値である「悪性新生物」(第6位。以下「全ガン」)がランクインしている。大分類である全ガンの数字には当然、結腸ガンの数字も含まれているのだが、ともに右肩上がりの増加傾向が続いている。
 しかも、全ガンは10年との比較で11年が+19人、12年には+62人と、増加の度合いが年々強まっている(結腸ガンでは11年が+33人、12年は+75人)。そこで私たちは、前回の「急性心筋梗塞」検証に引き続き、「原発事故による被曝と発ガンには関係がない」との仮説の下、それを否定することが可能かどうかを見極めることにした。病気発生の頻度を表す物差しである「年齢調整死亡率」(注2)を、福島県内の市町村ごとに計算した上で、文部科学省による福島県内の「セシウム汚染値」(注3)の濃淡と、相関関係が見られるかどうかを調べたのである(注4)。
 今回の検証作業でも、福島県内のセシウム汚染分布に詳しい沢野伸浩・金沢星稜大学女子短期大学部教授にご協力いただいた。

(注2)本誌2014年10月号10ページ(注2)および小社ホームページ(http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1921954.html)参照。
(注3)同(注3)参照。
(注4)福島第一原発事故後、高汚染のためにすべての住民が避難した原発直近の7町村(双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町・浪江町・飯舘村・葛尾村)は、解析対象から除外した。
 年齢調整死亡率は、原発事故前年の2010のものと、事故翌年の12年のものを、それぞれ計算して求めた。こうすることによって、セシウム汚染によって数値が上がったのか否かの区別がつく。
 つまり、汚染の高いところで12年の年齢調整死亡率も同時に高くなるという「正比例の関係」が見られれば、被曝との因果関係が強く疑われる――ということになる。逆の言い方をすれば、もし「正比例の関係」がなければ、原発事故とは別のところに原因が存在することを意味する。

■警戒が必要なのは「悪性リンパ腫」

図1、図2表2 その解析結果が、左に示した【図1】と【図2】である。結論は、
「セシウム137の土壌汚染密度分布と『全ガン』年齢調整死亡率の分布との間には、原発事故後、弱いながら統計的には有意(r =0.24)と言える正の相関関係が生じている」
というものだ(【表2】参照)。つまり、「原発事故による被曝と発ガンには関係がない」との仮説を否定する結果となったのである。
表3 実数で見ると、福島県で全ガンによる死者は増加傾向(【表1】)にあるものの、年齢調整死亡率で見た場合は原発事故前と比べ、横ばいで推移している(【表3】参照)。
 しかし、セシウム汚染との相関を見たグラフは、11年を境に何らかの“異変”が起きた可能性を示している。
 汚染の濃いところで10年の年齢調整死亡率が高ければ、それは放射能汚染に晒(さら)される前から死亡率が高かったことを意味し、10年のグラフの直線(回帰直線)は右肩上がりになる。12年の年齢調整死亡率がさらに上昇していない限り、「汚染との相関はない」と言える。
 10年の「全ガン」グラフ【図1】は、完全な右肩下がり(r =-0.23)──すなわち、放射能汚染に晒される以前は死亡率が低かった地域が多いということを示し、汚染との相関が全くなかったことを表わしている。
地図B図3、図4 それが、事故後の12年【図2】には右肩上がり(r =0.24)に転じていた。12年に年齢調整死亡率の増加が見られた市町村は、58自治体中33の自治体である【地図B】。右肩上がりに変わったのは、事故発生の年である11年(r =0.26)からだ【表3】。
 部位ごとにも検証してみた結果を示したのが【表3】である。全ガンと似た傾向が見られたのは、「気管、気管支および肺ガン」(r =0.23)だ。グラフを【図3】、【図4】として示すが、全ガンと同様に回帰直線が事故前と事故後で反転している。
 とはいえ、前出の「CDCレポート」のところで示したように、肺ガンの潜伏期間は「4年」である。原発事故による健康被害が現れるにしても、肺ガンの場合、事故翌年の12年では早すぎるのだ。
 何が原因であるにせよ、ここまでトレンドが反転するには何らかの相当なエネルギーが必要と思われるが、現時点ではその“エネルギー源”が「原発事故」や「放射能汚染」であると推定するには、かなり無理がある。従って、今回は現時点での検証の途中経過を示すだけにとどめ、13年以降の推移を注視していくことにしたい。
  白血病や胃ガン、乳ガンでは、現時点で全ガンと似た傾向は見られなかった。12年の死因ランキングで第2位に入っていた結腸ガンは、年齢調整死亡率が年々微増している。セシウム汚染との相関は、11年に「弱い相関」(r =0.23)があったものの、12年には「ほとんど相関がない」(r =0.04)レベルになっていた。
 気になるのは「悪性リンパ腫」(r =0.12)だ。セシウム汚染とは「ほとんど相関がない」レベルだが、そのr値がわずかながらも増加してきているのである。
「CDCレポート」では悪性リンパ腫の潜伏期間を「0.4年(146日)」としていることからも、悪性リンパ腫には今後、特に警戒が必要と思われる。

 そんなわけで、福島県でどんな部位のガンが増えたことで全ガンの増加に至ったのかは、手持ちの人口動態統計データだけでは解明することができなかった。この先の分析作業には、厚生労働省にある人口動態統計の生データが必要になる。
 ただ、このデータは一般向けに公開されておらず、国から厚生労働科学研究費をもらっているような大学などの研究者でなければ見せてもらえないのが実情だ。ぜひ、厚労省自身の手で解明していただきたい。
 次回は、福島県内の取材へと駒を進める。(以下、続く) 


取材・文 明石昇二郎(ルポルタージュ研究所)+本誌取材班
(『月刊宝島』2014年11月号より)

【訂正】
 先月号(『宝島』10月号)の本連載記事13ページの表5「福島県内の『急性心筋梗塞』年齢調整死亡率増減」の中で、昭和村の数値に誤りがありました。正しくは、2010年が10万人当たり9.84人、2012年が同12.71人でした。そのため、【図1】のr値は0.14から0.13に、【図2】のr値は0.36から0.34に訂正致します。
 また今号の【表3】中の「急性心筋梗塞」のr値は、セシウム汚染値0の檜枝岐村を除いて改めて計算し直しており、上記の訂正した値とは若干異なっています。

http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1927416.html
食品の放射性物質検査の結果は、各都道府県や厚労省のサイトなどで調べることができますが、PDFデータをあけるなどして見る形になっており、なかなか手間がかかります。そこで、「マダムトモコの厚労日報ダイジェスト」(http://goo.gl/RQ3mze)や、「フクシマンの福島リポート(郡山市)」(ameblo.jp/masa219koro/)を活用する方法があります。どちらも登録すれば、メルマガの形でメールで配信してくれるようになっていて、その日の前後に発表されたデータを元に、解説も添えて送ってくれます。

そのフクシマンの先日のリポートから、コピーしてアップします。

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11月14日に福島県より発表された「農林水産物緊急時モニタリング検査結果」によりますと、

須賀川市、田村市、会津美里町などで、農産物、畜産物など124検体について放射性セシウムの検査が行われました。

その結果、国の定めた基準値100Bq/kgを超える数値が検出された検体はありませんでした。

124検体の中で検出下限値を超えた数値が検出されたのは全体の約9%に当たる次の11件で、


いわき市産のユズ4件から

39Bq/kg、

11Bq/kg

7.5Bq/kg、

5.2Bq/kg


金山町産のトチノミ1件から

27Bq/kg


金山町産のナメコ1件から

22Bq/kg


田村市産のギンナン3件中の2件から

6.5Bq/kg、

6.3Bq/kg


新地町産の施設栽培の原木シイタケ4件中の3件から

3.8~3.6Bq/kg



http://ameblo.jp/masa219koro/entry-11957102209.html

原発事故の傷 支援の遅れ、再稼働 悩む住民/栃木


 二十七日午後、那須町湯本にある町役場湯本支所の駐車場。茶臼岳から吹き下ろす冷たい風の中、作業着を着た男女二人の町職員が、植え込みの中で空間放射線量を測っていた。
 「毎時〇・一七マイクロシーベルト。この場所はいつも、だいたいこれぐらいの数値ですね」。福島県に接する那須町は、東京電力福島第一原発事故後、毎週木曜日に町職員が一日かけ、計三十カ所の線量を定点観測している。
 この日の調査では、計九地点で、国が除染の目安とする毎時〇・二三マイクロシーベルト以上を観測。最も線量が高い所は〇・三九マイクロシーベルトだった。隣の那須塩原市でも、八月の調査で、市内の県有施設五カ所が〇・二三マイクロシーベルト以上を観測。事故から三年半以上が経過した今も、県北部は放射線という負の遺産に苦しみ続けている。
 福島県は事故後、国費で住民の甲状腺を検査しているが、栃木などの近隣県は対象外。栃木県北部でも検査のニーズは高いが、現政権の二年間で実現することはなかった。現在、国の有識者会議が、原発事故後の健康調査を再検討中だが、十一月の会合で示された中間取りまとめ案には、「福島の状況を踏まえ、必要に応じて検討を行っても遅くはない」など、健診拡大に消極的な言葉が並んだ。
 同じ県北部の矢板市では十二月中旬、子どもを対象にした集団甲状腺検査が予定されている。主催するのは、茨城県の民間団体「関東子ども健康調査支援基金」。開催まであと半月あるが、予約数は既に定員の百五十一人に達している。
 今回の検査を基金に依頼した住民グループの一人で、矢板市の井田紫衣(しえ)さん(57)は「国が検査しないから自分でやるしかない」とぽつり。安倍晋三首相が昨年、東京五輪招致のために「(福島第一原発の汚染水の)状況はコントロールされている」と発言した際には、「栃木県の汚染は、汚染のうちに入らないと思っているんだろうな」と落ち込んだ。

   ■  ■

 二年の間に「進展」もあった。国はもともと、県内の住宅の庭で土を取り除く除染には国費を充てていなかった。そのため、那須塩原、那須両市町が独自の予算で実施していたが、国は今年、市町が負担した表土除去費の全額を交付した。
 だが、県北部を拠点に除染に取り組む住民団体「那須希望の砦(とりで)」の竹原亜生(つぐお)代表の視線は厳しい。予算に限界のある両市町は、表土除去の対象世帯を子どもや妊婦がいる世帯に限ったり、除染費の一部を住民負担にしたりした経緯があるため、「今回の交付金が支援対象とした範囲は、とても狭い」とみている。
 また、表土除染をすれば大量の汚染土壌が出る。しかし国は汚染土に関し、福島県外では最終処分の方法を示しておらず、除染全体の遅れにつながっている。
 多くの課題が手付かずの中、現政権は九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働方針を表明。県北部の取材現場では「福島の事故は収束していないのに」という反発が多く聞かれた。放射線問題を抱える県北地域の苦しみに拍車をかけていたのは、住民の声に向き合うリーダーの不在だった。 

 <健康調査をめぐる県内の動き> 安倍政権が2013年10月に閣議決定した「子ども・被災者支援法」の基本方針によると、18歳以下を対象にした甲状腺検査の実施は現在、栃木県内では保障されていない。県の有識者会議はこの年の12月、ただちに健康影響は出ないと見通し、「健康調査は必要ない」とする提言を発表。調査を希望する住民との間で、現在も議論が続いている。県内の一部市町は、甲状腺検査の助成金を設けたり、集団検診を実施したりしているが、自治体間で支援内容にばらつきがある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20141130/CK2014113002000146.html
2014年11月30日
東京新聞 地方版

避難者 早く安定した生活を 進まぬ福島の復興、再生 /新潟




 新潟市北区の宿泊施設「菱風荘(りょうふうそう)」で先月初旬、子どもから大人まで40人ほどの集まりがあった。東京電力福島第1原発事故の影響で、県内に避難した福島県南相馬市立鳩原(はつぱら)小学校の元児童と保護者、今も同市内の仮設住宅などから同小に通う児童とその家族たちだった。

 集まりは「直接会って声が聞きたい」という子どもたちの要望に応え、同小PTA会長の阿部治幸さん(44)らが中心となって企画した。約3年8カ月ぶりの再会を果たした子どもたちは初め、緊張した面持ちだったが、程なくして福島で遊んでいたときのような笑顔を取り戻した。

 同小は南相馬市小高区にある。震災直後、全域が警戒区域に指定され、住民たちは自宅を離れ、遠く離れた仮設住宅や県外避難を余儀なくされた。現在も同区は年間被ばく放射線量が20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」になっており、一時帰宅は許されているが宿泊はできない状態だ。

 同小は震災後の2011年4月、北に約20キロの同市鹿島区にある別の小学校の一部を借りて再開したが、65人いた児童数はわずか7人に。その後に同区に仮設の校舎を建てたが、現在も児童は11人しかおらず、来年度の入学予定者もいない。

 「子どもたちがまた一緒に過ごせればいい。でも、今の生活を考えるととても『帰ってきて』とは言えない」。長男(6年)や長女(3年)らと共に参加した相馬市の荒木田香さん(43)は話した。現在も、家族5人でプレハブ小屋のような木造の仮設住宅で暮らしているが、壁は薄く広さも5人で住むには限界に近いという。

 震災前に約7万1000人だった同市の人口は現在約5万3000人。同市は16年4月に避難指示解除準備区域や居住制限区域を解除する目標を掲げ、住民の帰還に向けてインフラの復旧を進めているが、仮に解除されても住民らが戻ってくる保証はない。

 「当初は知り合いもいなくて(南相馬市に)戻りたかったが、今は子どもたちも新潟の生活になじんできた。こっちに家を建てようか迷っている」。11年4月から長岡市の借り上げ住宅で家族7人で暮らす坂本育子さん(38)は話した。

 夫は南相馬市に仕事があるため、家族がそろうのは週末だけだが、それでも「家族のために、早く安定した生活がしたい」と望む。


http://senkyo.mainichi.jp/news/20141129ddlk15010031000c.html
毎日新聞 
2014年11月29日 地方版





2014/11/29

子育て世帯に影響解説 12月18日 那須塩原でワークショップ/栃木

 行政は、大きな予算をつぎ込んで、放射性物質の安全を謳おうという取組みを強めています。それがどのような形で行われているか、地域の実情をぜひ時間があれば足を運んで見ておきたい。「放射性物質は危険」なのです。「少なければ安全」ということではありません。少なければ「影響は小さくなる」だけで、「安全」ではないのです。そこをしっかり聞き分けたいところです。
 ただ、これだけ身のまわりにある環境下で、当面暮らさざるを得ない状況ならば、その中で何ができるかを知ることは大事です。対策をすることで、しないよりはした分だけ確実に子どもを被ばくから守ることができますから。そのための情報と知恵は共有していきたいところです。そういった場が求められているのですが、あいにく行政が用意してくれる場は、「このくらいの汚染は安全だ」という結論に基づいていることのほうが多いでしょう。
 私たちは、あらたに放射能のことを知った人たちのために、そうした場を継続していけたら、と考え、HPでは「キホン」サイトを設け、学びカフェなどの企画もしていきたいと思います。


※ ちなみに、この講師を務める鈴木元院長は、こうした話をされている方です。http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=50941


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 東京電力福島第一原発事故後の放射能汚染を受け、子育て世帯が放射線への理解を深めるためのワークショップが十二月十八日、那須塩原市の黒磯公民館内にある「いきいきふれあいセンター」で行われる。参加無料。希望者には託児サービス(要予約)があり、幼稚園や保育所の関係者も参加できる。
 福島県に近い県北部で、子育て世帯を中心に、「放射線による健康影響が心配だ」「専門家から分かりやすい言葉で解説してほしい」との声があることを受け、県が初めて主催する。
 当日は、放射線に関する豆知識を盛り込んだ簡単なカードゲームを全員で行う予定。その後、国際医療福祉大クリニック(大田原市)の鈴木元院長が、子どもの健康を守るために留意しなければならないことを解説する。参加者が鈴木院長に質問できる時間もある。
 時間は午前十時~正午で、定員は先着七十人。参加希望者は県健康増進課=電028(623)3094=に申し込むか、県のホームページの「放射能・放射線対策に関する総合情報」から申込書を印刷し、必要事項を記入して同課にファクス=028(623)3920=する。締め切りは十二月八日。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20141129/CK2014112902000180.html
東京新聞
2014年11月29日


詳細は以下より:

http://nasuradi.blogspot.jp/2014/11/1218.html

放射線の健康影響に関するワークショップ
放射線について、小さなお子様がいる保護者同士でお話してみませんか?

放射線の健康影響について、疑問に思っていることや知りたいことを
専門の先生に直接お聞きできます。

日時:平成26年12月18日(木)
10:00~12:00(開場9:30~)
場所:黒磯公民館 大会議室
(いきいきふれあいセンター)
対象:小さなお子様を持つ保護者
幼稚園・保育所等関係者
定員:先着70名
参加費無料 
託児有 ※事前予約をお願いします
主催:栃木県 後援:那須塩原市 

~当日のプログラム~
進行:堀口逸子先生(長崎大学 広報戦略本部准教授)
10:00~ はじまり
10:10~ アイスブレーク
放射線に関する豆知識 ~カードゲームを通じた学び~
10:50~ 情報提供
「放射線と子どもの健康に関するお話」
講師:鈴木 元先生(国際医療福祉大学クリニック院長)
11:20~ 質疑応答
12:00 終了


参加申込方法及び問合せ先

○電話、FAX、メールにて、
栃木県健康増進課健康長寿推進班までお連絡ください。
○申込締切り 平成26年12月8日(月)
栃木県健康増進課 健康長寿推進班
電 話:028-623-3094(平日8:30~17:30)
FAX:028-623-3920
E-mail: kenko-zoshin@pref.tochigi.lg.jp



1/24・25「—保養がつなぐ大家族—むすんで開くへっついの家」 上映会とトークイベント~保養から見える福島のいまとあした~/神戸・大阪

「—保養がつなぐ大家族—むすんで開くへっついの家」
上映会とトークイベント~保養から見える福島のいまとあした~

□公演日程
2015年
1月24日(土) 13:30~16:00  淡路島洲本市 IIYO学園  洲本市海岸通2-4-36 洲本港近く
    問い合わせ  080-4322-1140   煙山(IIYO学園・NPO法人テンペラーレ理事長)

1月25日(日) 10:00~12:30 神戸市 須磨の家ふくふく
  神戸市須磨区桜木町2-3-37  山陽電車須磨寺駅徒歩5分
    問い合わせ  090-9871-1419  小野(たこ焼きキャンプ代表)

1月25日(日)  一回目 13:30~16:00  二回目 16:30~19:00
大阪十三・シアターセヴン(第七藝術劇場)
  大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポートシティービル5F 阪急十三駅西改札口より徒歩5分
        問い合わせ  090-1678-0609  木田(福島ハーメルンプロジェクト・ジョイントチーム)
※全日程、前半が映画上映、後半が関さんのトークになります。

□料金  全会場 1000円

□出演  関久雄 (映画制作・詩人)  共演 だるま森(総合工作芸術家)
<関久雄 プロフィール>
  岩手県生まれ。1970年、高校卒業後、横浜で昼は港で働き夜は神奈川大学に通い学生運動や労働運動を体験するも、理論とヘルメットで武装して相手を叩くやり方についていけず1977年ヒマラヤニストに転向。1983年、ヒマラヤでの転落がきっかけで無農薬野菜の八百屋を始める。1986年チェルノブイリ原発事故をきっかけに非暴力で原発を止める運動に参加。1994年、病気をきっかけに福島県の二本松に移住。塾経営、社協ボランティアコーディネーターなどを勤めたあとに、2011年、NPO法人りょうぜん里山がっこうの職員になる。3・11の大震災、福島原発事故の後は保養を中心に活動し、「灰の行進」、詩作などを通して「福島のいま」伝え、原発いらない世の中を創る活動に関わり続けている。妻1人、4人の子供の父でもある。

□映画「—保養がつなぐ大家族—むすんで開くへっついの家」
 2013年/ドキュメンタリー/日本/カラー62分
 制作・関久雄/撮影・関根彬
映画チラシより…「へっついの家は、佐渡島の中央にある古民家だ。海も山も川もある佐渡の豊かな自然の中で、福島の子どもたちに思いっきり遊んでもらおうと、大人たちが保養施設に改装し、運営をはじめた。子どもらはここで突然、大家族の一員となる。へっついを訪れる家族らと、それを迎え入れる人々の想い、保養の現場が織りなす時間の向こう側に、未来の暮らしの姿を探して、保養がつなぐ大家族の日々を、カメラは追いかけ、『福島のいま』をうかびあがらせる。」






「健康不安」大幅に減少 福島市民の放射線意識調査

この福島市の調査に関する報道ですが、結果はすべて市のHPで見ることができるとはいえ、多くの人はわざわざ見に行かないわけで、調査結果の中で、何を報道するかが記者や新聞社の視点で変わってきます。http://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/7/kouchou12090702.html


















上記サイトを見ていただければ分かりますが、報道された質問事項が示通り、不安が「大きくなった」人は減ったとしても、上記の別な質問の結果を見れば、いまだ家族の被ばくについて健康不安があるという人が(「大いに不安」と「やや不安」を合わせると)今も8割いることがわかります。こちらのほうが問題なのではないでしょうか。

すでに3年たったところでの調査です。3年もの間、不安なまま生活しているという状況は尋常ではありません。放置されたまま3年が過ぎて、対策にしても、避難にしても、あきらめの気持ちが強くなってきているのではないか、という懸念があります。さらに、回収率が半分以下ということで、その半分以上の方々の状態をどう読み取るかというのも重要な気がします。

この結果をもって、「不安は解消されつつある」という結論にならないでいただきたいです。

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 福島市は27日、市民3500人を対象にした東京電力福島第一原発事故による放射線の影響に関する意識調査の結果を発表した。
 平成24年5月の第1回調査に次ぐ2回目で、放射線の外部被ばくによる健康不安の変化について「大きくなった」と答えたのは全回調査に比べ23・2ポイント減少した。
 放射線による健康不安の変化のアンケート結果は【グラフ】の通り。外部被ばくの健康不安について「変わらない」と答えた割合は68・5%で、前回に比べ15・1ポイント増えた。一方、「小さくなった」は17・3%で、前回より8・1ポイント増えた。内部被ばくについても、同様の傾向となった。市は「放射線による健康不安は解消されていないが、前回調査から2年が過ぎ、市民の意識に落ち着きが出てきたのでは」と分析している。
 また、「原発事故発生後から現在までに思うこと」の設問では、「できれば避難したい」と回答した割合は今回23・8%で、前回の33・7%に比べ9・9ポイント減った。
 今年5月、20歳以上の市民3千人と市外に避難する20歳以上500人を調査。1515人から回答があり、回収率は43・3%だった。市は調査結果を踏まえ市民への放射線対策に反映させる。アンケート結果はホームページで紹介している。

2014/11/28
福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2014112819535

掲載された結果





2014/11/28

「そうま復興米」食べて 東農大、小中学生らに贈呈へ


「放射性物質検査で安全性を確認」した米だからよい、としているが、下限値がどのくらいで、どのくらいの数値が出たのか、まったく示されておらず、探してみたけれども見つかりませんでした。たとえ、100ベクレルを下回ったとしても、汚染があれば、小中学生に率先して配るべきではないでしょう。多くの支援と生産者の意欲によってできた米だとしても、汚染があれば子どもたちの健康に影響する可能性は0ではないのだから。

こうした復興支援プロジェクトに子どもを巻き込むのは「放射性物質」がある地域では避けるしかないのだとしつこくしつこく言い続けるしかないのでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  相馬市沿岸部の岩子地区で、津波の被害を受けた農地の復興支援プロジェクトを進めている東農大は本年度、農家や市と協力して復旧させた田んぼから収穫した新米約10トンをJAそうまから買い上げ、市内の小中学生3072人の保護者と教職員の計3500人に1人1キロずつ贈る。
 東農大の農地復興は、本来は除去する津波土砂を生かして元の土壌と混ぜ込んだ上で、降雨による除塩方式を採用。土壌改良には金属加工の際に出る成分「転炉スラグ」を使用した。2012(平成24)年に1・7ヘクタールで開始し、収穫米は「そうま復興米」と名付けた。本年度は約250ヘクタールに拡大、約千トンが収穫された。
 同大は、安全が確認された相馬市産の農産物を市民自らが食べてこそ「相馬の農業の真の復興」と考え、本年度から市民への贈呈を決めた。コメは県や同大による放射性物質検査で安全性を確認。また米袋のラベルデザインを公募し、斎藤左京君(桜丘小2年)のアイデアを採用した。保管や袋詰めはJAそうまが協力する。
 相馬市役所で25日行った贈呈式では、プロジェクトを指導する東農大の門馬敏幸、後藤逸男両教授が、立谷秀清市長と斎藤君らにコメを贈った。立谷市長は「多くの支援と生産者の意欲によってできた全国に自慢できるコメ。安心して食べてほしい」と述べた。
 今後、コメは学校を通じて各家庭に贈られる。

2014年11月26日 
福島民友
http://www.minyu-net.com/news/topic/141126/topic2.html

11/26 専門家会議報告/中間取りまとめ案に委員から厳しい意見、市民がたまりかねて反論

原発事故に伴う住民の健康調査に関して検討している、環境省「専門家会議」が26日に行われました。(NHKニュースはこちら

前回提出された事務局による中間とりまとめ案、前回も委員から意見が出されるたびに、修正は事務局へ、という座長の声だったが、今回も引き続き修正について議論が行われた。


OurPlanetTV白石さんの報告によれば、「福島県内と県外を県境で分ける考え方や健康調査全般をきちんと議論できる場の設置など、委員からは厳しい意見が殺到し、目標としていた年内に提言をとりまとめるのは、厳しい情勢となった。次回の会議日程は未定だという」。

この専門家会議は、もともと子ども・被災者支援法の基本方針で、福島以外の健康調査についてどのように対応していくのかという点で設けられた「有識者会議」であったことから、関東ネットをはじめとする福島県以外でも子どもを守るために健康調査を求める市民の多くが関心を寄せています。

ところが、そうした内容を無視したまま、中間まとめという段階にいたり、市民の中からは、この状況をどう訴えていくべきかという議論がわき起こりました。傍聴席で規制されながらも声をあげたり、終了後に声を届けようとする市民の様子を、市民メディアであるOurPlanetTVではカメラにおさめています。

OurPlanetTVサイトに8分弱のダイジェスト動画もあがっています。ぜひどのような場になっているのかご覧ください。

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http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1859

委員と傍聴者が怒鳴り合い~環境省専門家会議

投稿者: ourplanet 投稿日時: 水, 11/26/2014 - 04:54
原発事故に伴う住民の健康調査に関して検討している専門家会議で26日、前回、事務局が提示した中間とりまとめ案の修正について議論が行われた。福島県内と県外を県境で分ける考え方や健康調査全般をきちんと議論できる場の設置など、委員からは厳しい意見が殺到し、目標としていた年内に提言をとりまとめるのは、厳しい情勢となった。次回の会議日程は未定だという。
 
前代未聞!?~委員と傍聴者が怒鳴り合い
今回、最も議論が白熱したのは、中間とりまとめ案において、福島県と福島県外を単純に区分けしている点。国立医薬品食品衛生研究所の春日文子委員から「福島県と福島県外とざっくり分けるのは、あまりにも非科学的ではないか」と異論が出されると、日本医科大学の清水一雄委員からは、「汚染は同心円状に遠くなるにしたがって、低くなるわけではない。福島県内と県外で区別するのは難しい」と指摘した。
(続く)


2014/11/27

11/28〆切!! Codomo-Rescueからの「子どもを放射能から守ろう」署名呼びかけ

以下、Codomo-Rescueからの呼びかけです。明日28日〆切とのこと。簡単な署名ですので、ご協力を。

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子どもを放射能から守ろうという署名を集めています。
http://www.codomo-rescue.net/

オンライン署名→ http://t.co/8koN910d0x

第4次〆切が明日に迫っています。

内容に賛同頂けましたら、ご署名頂けないでしょうか?
また、周りの方に情報を拡散していただけないでしょうか?

よろしくお願いしたします。


◎拡散願/署名提出日程が決定12/2(火)◎
1筆でも多く国に届けたいので第四次〆切を延長します
【第四次〆切】11/28(金)必着




提出先:内閣総理大臣宛
要望書提出:厚生労働省、原子力規制委員会、文部科学省
http://t.co/FGLzEG4y4T

http://chn.ge/1udZA6J?recruiter=306931

ストロンチウム測定20分で 福島原発事故に活用へ

 日本の技術はすばらしいと思います。次々と放射性物質に関する技術も発表されます。けれども、それらが生かされているのかどうかとなると疑問です。

 たとえば、どれほど正確なセシウム測定技術があっても、福島県に置かれているモニタリングポストでは、低めの数値を表示する機器が採用され、その上、周りが除染され、現地の人の暮らしの本当の「安全・安心」に役立ってはいません。また、除染技術もどんなに開発されようと、現場では、当初と変わらない土壌の移動と「清掃」が中心で、現場の人たちが被ばくから守られ、有効な除染が行われる方向で技術が生かされているという報告には出会えません。

 このニュースに出てくる、ストロンチウムを迅速かつ正確に測定する技術は、水産物の測定などで待たれているわけですが、この技術が原発の事故現場で本当に役立ち、人々の暮らしの安心に寄与するかどうかは、この技術が優れているか否かと同時に、それを生かすつもりが行政にあるかどうかなのだと思います。そこを見極めながら、今後のニュースを待ちたいと思います。

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 福島大は27日、放射性物質のストロンチウム90の新たな分析手法を開発し、12月1日から東京電力福島第1原発で汚染水の分析に使用すると発表した。汚染水に含まれるストロンチウム90の濃度を測定する場合、従来は2週間から1カ月程度かかっていたが、新手法だと20分程度で測定できるという。

 開発したのは、福島大共生システム理工学類の高貝慶隆准教授(分析化学)を中心とするチームで、日本原子力研究開発機構や海洋研究開発機構などが参加。平成23年夏ごろから開発を始めた。

 従来手法は、ストロンチウム90が出す放射線の一種、ベータ線を測定し、その放射線量から濃度を調べていたが、他の放射性物質から出るベータ線と見分けるのに時間がかかっていた。新たな手法は、特殊な処理で汚染水からストロンチウム90だけを抽出した上で測定するため、大幅に時間を短縮できるという。

2014年11月27日
産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/141127/afr1411270023-n1.html

ストロンチウムを測定する機器の前で説明する福島大の高貝慶隆准教授



甲状腺がん増加するかどうか 継続調査が必要(NHKニュースより)


(NHKニュースより)
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う住民の健康影響を検証している環境省の専門家会議は、被ばくした子どもたちと被ばくしていない子どもたちを比較するなどして、今回の事故の影響で甲状腺がんが増加するかどうかを継続して調査していく必要があるとする中間の報告書案を示しました。







環境省が設けた専門家会議は、原発事故で拡散した放射性物質による住民の健康への影響について検証を進めていて、26日に中間の報告書案を示しました。










それによりますと、福島県がすべての子どもを対象に行っている甲状腺検査で、これまでに見つかった甲状腺がんについて、甲状腺がんの増加が報告されたチェルノブイリ原発事故の場合と比べて、推定される被ばく線量が低いことなどから、「原発事故によるものだと積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」としています。













そのうえで、今後も検査を行って被ばくした子どもたちと被ばくしていない子どもたちを比較するなどして、今回の事故による放射性物質の影響で甲状腺がんが増加するかどうかを継続して調査していく必要があるとしています。













一方、検査を巡っては、死亡にはつながらない小さながんまで発見して、本人や親などに心身の負担を与えるおそれも指摘されていて、住民の理解を得ながら検査の方法を検討することが必要だとしています。













専門家の会議は今後、この案に修正を加えたうえで、国に提言することにしています。















http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141127/k10013517681000.html

(動画あり)
NHKニュース
2014年11月27日


11/30(日)「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」上映会@池袋/東京

11月30日「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」上映会

としま放射能から子どもを守る会では、毎月第4日曜日(変更あり)に茶話会を開いています。メンバーを中心に、どなたでも参加いただけます。ふだんは、放射能から子どもを守ることをテーマにした情報交換やおしゃべりが中心ですが、ときどき、イベントを行っています。

11月は、DVDの上映会。OurPlanetTVが制作した「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」を上映し、みんなで感想など話します。ぜひお気軽にお問い合せください。

日時:2014年11月30日 10:30-12:00
場所:がんばれ!子供村 2階(マップはこちら
    池袋駅から徒歩10分くらいです。

参加費:300円
おこさま連れでご参加いただけます!

主催:としま放射能から子どもを守る会

詳細はこちら

下記よりお申込みください。

このフォームの表示や送信に問題がある場合は、オンラインでご入力いただけます。 
https://docs.google.com/forms/d/1o3W7-WXsD6jQdNK61WVauXre25cpXJUaiPDO-wb2Ers/viewform?c=0&w=1&usp=mail_form_link

11/30 としまの会 上映会&お話会 申込み

必ず最後に「送信」ボタンを押してください。
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    メールが届かない場合のみ使用します(例:000ー1111ー2222)

    ほか、質問や連絡事項があれば。

    Google フォームでパスワードを送信しないでください。

横浜の保育園で保管の土砂から基準超の放射線/神奈川


 横浜市は26日、市内の保育園1園で保管している土砂から、市の空間放射線量の基準(毎時0・59マイクロ・シーベルト、距離1センチ)を超える0・62マイクロ・シーベルトを検出したことを明らかにした。

 林文子市長は同日の定例記者会見で「適切な保管方法を検討する」と述べた。

 市によると、東京電力福島第一原発事故後、市内の小中学校20校、保育園14園では側溝や雨どいなどで局所的に高い線量が測定された土砂を袋に入れて倉庫などに保管。市が昨年から今年にかけて測定したところ、11校12園では基準値未満になっていたため、土砂を敷地内に埋める方針としていた。

 だが、市の担当者が18日、基準値未満だった2園で線量を再測定したところ、1園で基準値を上回っていた。市は他の学校・保育園でも再測定を行う。この問題を追及してきた井上さくら市議は26日、土砂を学校・保育園の敷地外で一括管理するよう市に申し入れた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20141127-OYT1T50022.html?from=ycont_top_txt

2014年11月27日
読売新聞

2014/11/25

「子ども・被災者支援議員連盟」より 「13条に基づく健康調査法骨子案ができました」


11/17の国会(参議院・復興特)で審議された際、川田議員より出されていた議連による法案の骨子が発表されました。(11月19日付)


http://blog.kodomoinochi.net/2014/11/13.html


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13条に基づく健康調査法骨子案ができました

子ども被災者支援議員連盟に設置されている「子ども被災者支援法13条に基づく新法検討の実務者会議」では、このほど、健康調査法案の骨子案を作成しました。2年前に超党派で参議院に提出した法案をその後の状況変化に合わせ、一部変更した内容です。今後、各党での協議を経て、議連総会に諮り、来年の通常国会に超党派で提出を目指しています。
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平成二十三年東京電力原子力事故に係る健康調査等事業の実施等に関する法律案 骨子(案)

第1 総則

1 目的
 この法律は、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「平成23年東京電力原子力事故」という。)により当該原子力発電所から放出された放射性物質(以下「事故由来放射性物質」という。)からの放射線による健康への影響に関し、周辺住民等の不安の解消及び周辺住民等自らの継続的な健康管理に寄与し、あわせて放射線が人の健康に与える影響に関する科学的知見の充実及び活用に資するため、健康調査等事業の実施及び健康調査の結果の施策への反映等について定めることを目的とすること。
2 定義等
(1) この法律において「周辺住民等」とは、次に掲げる者をいうこと。
① 平成23年3月11日において次のアからウまでの区域内に住所を有していた者(同日においてその者の胎児であった者を含む。)
ア 福島県の区域
イ 放射性物質汚染対処特別措置法により汚染状況重点調査地域に指定されたことがある区域
ウ その区域内の事故由来放射性物質による環境の汚染状態を勘案して(2)①の健康調査を行う必要があるものとして環境大臣が指定する区域
② 平成23年3月11日以降の政令で定める時期において①アからウまでの区域内に政令で定める期間在った者(当該時期において妊婦が当該区域内に政令で定める期間在った場合における当該期間その者の胎児であった者を含む。)
(2) この法律において「健康調査等事業」とは、次に掲げる事業をいうこと。
① 平成23年東京電力原子力事故に係る放射線による周辺住民等の健康への影響に関する調査(以下「健康調査」という。)並びにその経過及び結果の公表
② 周辺住民等の健康管理の拠点及び放射線が人の健康に与える影響に関する国際的に卓越した研究の拠点の整備
  (3) 市町村長は、当該市町村の区域内の一定の区域でその区域内の事故由来放射性物質による環境の汚染状態を勘案して健康調査を行う必要があると認められるものを、(1)①ウの区域として指定すべきことを環境大臣に対し要請することができること。

第2 健康調査等事業の実施

1 健康調査等事業の総合的実施
 国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、健康調査等事業を総合的に実施するものとすること。
2 放射線量その他汚染の状況の調査
国は、健康調査等事業の適切な実施に資するため、平成23年3月11日以後における放射線量その他事故由来放射性物質による汚染の状況の調査について、きめ細かく、かつ、継続的に実施するものとすること。
3 基本方針
(1) 政府は、健康調査等事業の実施に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこと。
(2) 環境大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。
(3) 環境大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣、原子力規制委員会、文部科学大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならないこと。
(4) 環境大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、(1)の市町村長の意見を聴くとともに、周辺住民等との協議の場の設置その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じ、それらの意見を尊重しなければならないこと。
4 健康調査の実施
(1) 福島県内の市町村の長及び第1(1)①イ又はウの区域をその区域に含む市町村の長は、周辺住民等のうち当該市町村の区域内に住所を有する者に対する健康調査((1)①・②の調査に限る。)を行うこと。

※ 市町村が地方自治法の規定に基づき一部事務組合を設けて行うことは可能。

(2) 環境大臣は、健康調査のうち次に掲げるものを行うこと。
① 周辺住民等のうち(1)以外の者に対する(1)①・②の調査
② (1)及び①による周辺住民等に対する健康調査の結果の分析
5 健康調査の内容
(1) 健康調査の内容は、対象となる者の同意を得て行われる次に掲げる調査とすること。
① 生涯にわたる定期的な健康診断(別に行われる健康診断の項目と重複する項目については、対象となる者が受診を希望しない場合には、当該別に行われる健康診断の結果の調査)
② 定期的な被ばく放射線量の測定及び推計(労働安全衛生法に基づき放射線業務に従事する労働者に対して行われる被ばく放射線量の測定その他の被ばく放射線量の測定が別に行われている場合にあっては、当該被ばく放射線量の測定の結果の調査)
③ ①及び②の結果の分析
(2) (1)①の健康診断には、甲状腺がんその他放射線が特に子どもの健康に与える影響として懸念される政令で定める疾病に関し必要な検診を含むものとすること。
6 実施計画
(1) (1)の市町村長及び環境大臣は、基本方針に基づき、健康調査の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定めなければならないこと。
(2) (1)の市町村長は、実施計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならないこと。この場合において、環境大臣は、同意をしようとするときは、厚生労働大臣、原子力規制委員会、文部科学大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならないこと。
(3) 環境大臣は、実施計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣、原子力規制委員会、文部科学大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならないこと。
7 健康診断等に関する記録の保存
 (1)の市町村長及び環境大臣は、(1)①・②の調査を行ったときは、当該調査に関する記録を保存しなければならないこと。
8 健康診断等の結果の通知等
(1) (1)の市町村長及び環境大臣は、(1)①・②の調査を受けた者に対し、当該調査の結果を通知しなければならないこと。
(2) (1)の市町村長は、政令で定めるところにより、環境大臣に対し、(1)①・②の調査の結果を報告しなければならないこと。
9 事務の委託
(1) (1)の市町村長及び環境大臣は、健康調査の実施に関する事務のうち政令で定めるものについては、大学その他の研究機関であって一定の要件(当該事務の実施に関し専門的な能力を有すること等)に該当するものとして環境大臣が指定するもの(以下「指定研究機関」という。)に委託することができること。
(2) 指定研究機関は、健康調査の実施に関する事務を委託されたときは、これらを一体的かつ効率的に行うものとすること。
(3) 指定研究機関は、(1)の市町村長及び環境大臣に対し、委託された健康調査の実施に関する事務について、報告を行うものとすること。
(4) (1)により委託された健康調査の実施に関する事務に従事した者は、正当な理由がなく、その実施に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと。
10 国及び都道府県の援助
(1) 環境大臣、厚生労働大臣、原子力規制委員会及び文部科学大臣は、(1)の市町村長に対し、健康調査の実施について必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。
(2) 都道府県は、(1)の市町村が行う健康調査の実施に関し、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めるものとすること。
11 資料の提出その他の協力
 (1)の市町村長及び環境大臣並びに指定研究機関は、健康調査の実施に関し必要があると認めるときは、国の行政機関及び地方公共団体の長、医療機関その他の関係者に対して資料の提出その他の必要な協力を求めることができること。
12 費用の負担等
(1) 健康調査の実施に要する費用は、国が負担すること。
(2) 国は、(1)の費用のうち、原子力事業者(東京電力)が原子力損害の賠償に関する法律の規定により賠償の責めに任ずべき損害に係る費用について、適切に損害賠償請求権を行使するものとすること。
13 健康調査の経過及び結果の公表
(1) 環境大臣及び(1)の市町村長は、定期的に、健康調査の経過及び結果((1)の市町村長にあっては、その行った健康調査に係るものに限る。)を公表するものとすること。
(2) (1)の公表に当たっては、個人情報の保護に留意しなければならないこと。
14 事務の区分
健康調査等の市町村が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とすること。
15 健康手帳の交付等
(1)の市町村長及び環境大臣は、周辺住民等自らの継続的な健康管理に寄与するため、その行う(1)①・②の調査の対象となる周辺住民等に対し、当該調査の結果等の必要な事項を記載する健康手帳の交付その他の措置を講ずるよう努めるものとすること。
16 健康管理及び研究の拠点整備
 国は、指定研究機関について、周辺住民等の健康管理の拠点及び放射線が人の健康に与える影響に関する国際的に卓越した研究の拠点として整備され、健康診断等に関する記録の管理、(1)③の結果の分析により得られた知見に基づく情報の提供、多数の研究機関の研究者等の能力の活用等が図られるよう、必要な措置を講ずるものとすること。

 

第3 健康調査の結果の施策への反映等

1 健康調査の結果の施策への反映
 国は、健康調査の結果に基づき、放射線による人体の障害の防止及び放射線被ばくをした者の医療等に関し、必要な施策を講ずるものとすること。この場合において、国は、放射線が人の健康に与える影響の評価及び必要な施策に関し、国民の意見を反映し、関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るため、必要な措置を講ずるものとすること。
2 国際的な連携の確保
 国は、健康調査の結果の提供等による被ばく放射線量の限度に関する国際的な基準の確立への寄与その他の放射線による人体の障害の防止に関する国際的な連携の確保のために必要な措置を講ずるものとすること。

第4 罰則


 第2(4)に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すること。

第5 施行期日等

1 施行期日
  この法律は、   から施行すること。
2 検討
 健康調査等事業の実施に関する事務を所管する国の行政組織については、この法律の施行後5年以内に、この法律の施行状況等を踏まえ、当該事務を公害に係る健康被害の予防に関する事務等と共に環境省が厚生労働省と共同で所管することとすることを含め検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられるものとすること。
3 その他
福島復興再生特別措置法における健康管理調査に関する規定の改正その他所要の規定の整備を行うこと。

11/17 復興特での審議より抜粋してみました。ぜひお読みください。

 11月17日に行われた、東日本大震災復興特別委員会(参議院)より「子ども・被災者支援法」についての答弁を抜粋しておきます。青字は、質問者(国会議員)の発言、赤字は、政府答弁です。色文字、下線や太字だけでも、ぜひお読みください。
 そして、国民の代表である国会議員の仕事は「立法府」である「国会」で、立法を審議することです。その国会議員全員の賛成で、日本の法律となった「子ども・被災者支援法」の理念がまったく実現されていないことに、国会議員はもっと政府を追及すべきなのではないかと思います。
 総選挙の争点に、まったく出てこない被災者支援ですが、こうした状況を理解し、追求できる議員を選ぶことができれば、支援は前進するはずで、そのために何ができるか、知恵をしぼりたいです。

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○委員長(櫻井充君) 東日本大震災復興の総合的対策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
 大臣を終えて初めての質問がこの震災復興特であるということ、大変感謝をしております。理事の皆様、委員長、ありがとうございます。
 まず初めに、子ども・被災者支援法について質問をしたいというふうに思います。
 この法案は、私、筆頭発議者であり、提案者でございます。この法案は全会一致で、しかも全政党が提案者になった戦後初めての法案でございました。私が被災地福島県の議員ということで、野党時代に子ども救済法という法案をまず条文を作りまして、この趣旨は、被災地そして原発事故があった地域の子供たちを守るという趣旨でございます。同じことを考えておられた川田議員たち、そして民主党さんの方では当時の谷岡郁子議員が、その後みどりの風に移られましたが、野党をおまとめになって被災者支援法というのを作っておりまして、その二つを合体したものがこの子ども・被災者支援法でございます。
 その中の特に私が書き込んでいた子供の救済の部分、この条文について今日は質問したいと思います。
 基本方針について、安倍内閣になってからやっと作られたということで、関係者として感謝を申し上げます。その次の課題として十三条三項があるというふうに思っております。
 御存じのように、福島県においては今十八歳未満の子供たちの医療費は無料になっております。しかし、ここで問題なのは、震災当時十八歳未満であったけれども、今、原発事故から三年八か月が経過をいたしまして、年が上の方の子供は十八歳を超えております。当時、例えば十七歳だったお子さんは今二十歳や二十一歳になっているわけでございます。そのお子さんたちに万が一重いがんのような疾病があった場合には、福島県の十八歳未満の医療費無料というのは適用されないことになっております
 このような重大な疾病が出ないことを祈っておりますし、これは現在の科学を環境省の方で今様々な検討をなさっていることも承知しておりますが、十三条三項というのは、そもそもの趣旨は、原発事故による放射線被害による重大な疾病の発症というものがいまだかつてない事象であるために、様々な専門家の意見があり、これはどのぐらいの割合で、どのぐらいの期間で、どのぐらいの重い疾病が生じるということはなかなか一つの見解に至るには時間が掛かるという、そういう問題が根底にございました。当時も本当に様々な意見がありました。非常に深刻な見解もあれば、楽観的な見解もございました。
 しかし、そのような様々な見解の中で、私たち与野党を合わせた議員は、この様々な見解の検討に掛かる時間の間、被災者、特に子供たちを不安にさらせると、その不安の負担を子供たちに押し付けてはならないということです。ですから、その結果が、政府としての統一見解が出るまでの間、まずは、重い疾病が出たら、これが原発事故に起因するか起因しないか分からなくても医療費の支援を国がするというふうに十三条三項に書いてあります。
 先日、環境省が私のところにレクに来たときに、ちょっとそれと違ったような見解を述べておられましたので、是非、環境省の方には当時のこの子ども・被災者法の議事録を読んでいただき、そして当時の復興大臣がそのようにいたしますというふうにおっしゃっておられますから、しっかりとそれを読み込んで対応していただきたいと思うんです。
 つまり、まずは国が支援をするということが前提です。そして、括弧の中に書いてある、わざわざ括弧書きの中に放射線による被曝に起因しないものは除くと書いてあるのは、これは法律の条文の読み方では当然のことでございますが、立証責任を転換しております。そのように当時の国会でも私たち提案者が答弁をしております。国が原発事故に起因しないということを立証するんです。裁判所で主張していただきたいと思います。しかし、起因するか起因しないかということの様々なことによる負担を被災地の子供たちに、そしてその子供たちの親に押し付けることはやめましょうという、そういう趣旨でございます。
 ここまで聞いていただいた上で、是非早くこの十三条三項を具体的に制度化をしていただいて、万が一のときには国が医療費を支援する、当時十八歳未満で現在十八歳以上の者の重い疾病に係る医療費でございますが、そのような制度をつくっていただきたいと思いますが、まず小里環境副大臣、そして復興大臣に御答弁を願いたいと思います。

○副大臣(小里泰弘君) 御指摘をいただきましたように、福島県におきまして子育て支援の観点から十八歳以下の医療費助成を行っているところでございまして、十八歳を超えるとこれが途絶えてしまうんじゃないかと、そういう視点からの問題提起をいただいたと心得ます。
 環境省では、福島県民の原発事故後の中長期的な健康管理を可能とするために、福島県が創設をしました基金に交付金を拠出をして、福島県が実施をしておりますところの健康調査を支援をしているところでございます。また、平成二十五年十月に取りまとめられました子ども・被災者支援法の基本方針に基づきまして、専門家会議を設置をし、事故後の健康管理の現状、課題を把握をし、今後の支援の在り方について検討を行っているところでございます。
 今先生からいただきました問題提起、貴重な御意見をしっかりと受け止めて、今後また専門家会議で議論をして必要な検討をしっかりと進めてまいりたいと思います。

○国務大臣(竹下亘君) 非常に大変重要な課題であると認識をいたしております。
 子供たちは日本の将来を背負っていく存在でございますから、政治家、政治へ携わる者は、今も大事でございますが、常に未来、すなわち子供たち、孫たちのことに思いを致しながら今を考えていかなきゃならぬというふうに思っております。
 先ほど環境省から答弁があったように、専門家会議を今環境省の中に設置をしていただいておりまして、議論をいただいておるということを承知をいたしております。専門家会議の結論といいますか方向を待って、環境省ともよく相談をして対応していかなければならない課題であると思っております。既に十三回ですか、専門家会議開催をされておりまして、間もなく一定の方向が出るんじゃないかという期待も我々、あっ、今度十三回目が今月の二十六日に行われる予定というふうに伺っておりますが、間もなく方向性を出していただけるものだと、こう思っております
 環境省と、これいずれにしましても、本当によく相談をして対応していこうと思っております。

○森まさこ君 是非しっかりと検討していただきたいと思うんですが、ちょっと気に掛かるのは、この専門家会議の方が医学的な見地から専門的に検討するということで、医学的な見地で専門的に検討はずっとしていただいて結構なんですけれども、それを待っている間の不安というものを、その負担を押し付けないでほしいという趣旨が十三条三項でございますので、検討は検討でやっていただき、しっかりとした医療費の支援については、同時並行的にこれは設置の方向に向けて検討を進めてほしいと、大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。


○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。

 次に、子ども・被災者支援法について何点か伺います。
 先ほど、森委員からも質疑がありました。超党派で参議院で議員立法を成立をさせていただきましたけれども、特に、これまで、基本方針が示されてから、この十三条の第二項、第三項の規定であります定期的な健康診断と医療費の減免、さらには医療の提供について、これをしっかり実施していくための実施法について超党派の議員連盟において今議員立法をすべく検討中です
 やはり早くこういった実施をしてほしいという、特に福島県民だけではなく県外の人からも、特に健康診断をしてほしいという声ですとか、それから先ほどの森委員からもありましたように、十八歳を超えた後も継続して医療を受けられるようにしてほしいという声もありまして、そういった実施の方をやっぱり是非、これは法律もそうですし、実施の方も含めてやっぱり検討を是非進めていただきたいというふうに思っています。
 質問なんですが、この子ども・被災者支援法の附則の二には、「国は、第六条第一項の調査その他の放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すものとする。」と書かれています。
 この支援対象地域の見直しはいつ行うんでしょうか。法律では毎年見直すということになっているわけですが、支援対象地域を定めた基本方針の閣議決定からはや一年がたちました。十二月に行うということで理解してよろしいでしょうか。


○副大臣(浜田昌良君) 今、川田委員から御質問いただきましたように、昨年の十月十一日に基本方針、閣議決定しております。そして、法律の附則二で、今読み上げていただきましたが、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すと、こう規定されておりますので、支援対象地域の考え方の変更自体はないと思いますけれども、この法の二条の規定に基づきまして、区域については様々な事情を考慮して適時適切に対応してまいりたいと思っております。

○川田龍平君 この見直しに当たっては、どのような観点で行うんでしょうか。よもや予算やこの対象地域を減らす方向ではないと思いますが、この準支援対象地域についても見直すのかどうか、お答えいただけますか。

○副大臣(浜田昌良君) 支援対象地域の見直しについてでございますけれども、川田委員御存じのように、この支援対象地域については空間線量の一定推計値をベースにしますが、当時の法案の審議の際、分断を新たにつくらないでほしいという要望もございましたので、経済的、社会的な一体性も考慮して決められております。そういう考え方をベースにしながら、基本的にその後の線量の状況はどうなっているかということを踏まえて決めていくと。
 あわせて、準支援対象地域についても、支援対象地域等と決められておりますので、検討していくことを考えております

○川田龍平君 大臣、是非、恐縮なんですけれども、この子ども・被災者支援法の第十四条、それから第二条の二項に何と書いてあるか御存じでしょうか。もしよろしければ読み上げていただければと思います。

○国務大臣(竹下亘君) 子ども・被災者支援法第十四条は、「国は、第八条から前条までの施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする。」と、こう定めているところでございます。

○川田龍平君 続けて、二条の二項には何と書いてありますでしょうか。

○国務大臣(竹下亘君) 二条二項は、「被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」、こう定めているところでございます。

○川田龍平君 大臣にわざわざ読んでいただいたのも、まさにこの条文がこの法律の理念の本当に基本となるところです。わざわざ十四条にこういうふうな規定を置いているわけですから、この支援対象地域、また準支援対象地域の見直しに当たっては、このパブリックコメント、パブコメだけで済ませようということではなく、是非、自主避難者の人たちの声も含めて、この被災者の声を直接聞く場というものを是非復興庁主催で設けていただけるというふうにお考えいただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○副大臣(浜田昌良君) 今、十四条は大臣から読み上げさせていただきましたが、被災者の要望、意見をしっかり受け止めることは重要でございまして、復興庁においては、これまで被災者団体等が開催する会合に職員が参加するなどして被災者などの意見を伺ってまいりました。私自身も何回も出席させていただきました。さらに、県外避難者等に対する相談体制を確保するため、昨年度、全国四か所で民間団体等を通じた県外自主避難者等への情報支援事業を実施しておりまして、今年度はこれを八か所に拡大して実施しております。
 今後とも、被災者を支援する民間団体とも協力しながら、政府が責任を持って、被災者等の御意見を引き続き伺ってまいりたいと思っております。

○川田龍平君 大臣、是非この関係団体のヒアリングを傍聴するという、そこに行って聞くというだけではなくて、是非主催して、復興庁の方で主催していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、大臣お願いします。

○副大臣(浜田昌良君) 担当の私から答えさせていただきます。
 基本方針の策定の際には、御存じのように、復興庁主催で福島と東京で説明会も主催させていただきました。そういう意味では、そういうことも組み合わせておりますし、ただ、大人数でわあっとやるというのが必ずしも効率的でなかったなという感じもありましたので、少人数での懇談会になるべくお招きいただいて、かつ、NPOのいろんな工夫もございますので、そういうところで伺った方が本当の意見もお伺いできますので、その辺、開催の仕方についてはいろいろ工夫したいと思っております。

○国務大臣(竹下亘君) 先ほど浜田副大臣にお答えをいただきましたように、本当にいろんなレベルでやらなければならない。川田委員御指摘のように、それを復興庁が主催してやりなさいという御指摘でございますが、今までどういう形でやって、どこが落ちていたのか、あるいはどこか抜けがあるのかということも再検討した上で検討させていただきます。

○川田龍平君 これ、被災者の人たちが待ち望んでいるのは、定期的な協議の場を設けてほしいということも要求してありましたので、是非直接意見を聞いていただきたいと思います。
 次に、この自然体験と保養事業進捗の来年度の見込みについて、子ども・被災者支援法に基づき文科省が実施している自然体験・交流活動支援事業について伺います。
 今年度から福島県外も対象となっていますが、現時点で県外を選択した学校や幼稚園、保育園の割合、また長期の宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体にはどのような団体があり、行き先の都道府県はどこだったのかの現状をお教えください。

○国務大臣(下村博文君) 福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業は、子ども・被災者支援法第八条の自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策の一つとして、御指摘のように、今年から、福島県の子供を対象に、幼稚園、保育所、小中学校、特別支援学校及び社会教育関係団体が実施する自然体験活動や、県外の子供たちとの交流活動を支援する事業として実施しているものであります。
 今年度の幼稚園、保育所、学校の申請数は九百二十九校園所で、参加予定の子供の数は約七万五千人となっております。このうち県外での活動を組み入れているものは百六十校園所、約二万人で、全体の約二割でありました。また、六泊七日以上の長期宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体はNPO、社会福祉法人、PTAなどでありまして、行き先は北海道、新潟、神奈川、伊豆大島、京都、沖縄と全国各地にわたっております

○川田龍平君 ありがとうございます。
 チェルノブイリの経験から、放射線にとりわけ脆弱な子供たちが一定の期間ほかの地域で保養することが重要との知見は大臣もよく御存じのことだと思います。
 この事業、私は子ども・被災者支援法の貴重な成果の一つとして評価をしています。初年度の今年は、準備が間に合わずに日帰りや一泊程度の事業しか実施できなかった学校などが多かったと聞いております。来年度はもっと県外での滞在宿泊日数を増やして申請する学校などが増えてくるのではないかと思いますが、今年度の予算と比べて来年の概算要求額は増やしていますでしょうか

○副大臣(浜田昌良君) 復興特別会計でございますので、復興庁からお答えさせていただきます。
 今年度から東日本大震災復興特別会計に計上いたしました福島の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業につきましては、平成二十七年度概算要求において、文部科学省からの要望を踏まえ、今年度と同額でございます三億二千四百万円を計上したところでございます。

○川田龍平君 是非、副大臣、それから文部科学大臣、復興大臣、昨年は十億円要求をして三億円だったと聞いております。獲得した予算額と同額しか要求していないということでは減ってしまうのではないでしょうか。心配です。是非、実施団体、受入れ団体の声にも文科大臣からもよく耳を傾けていただきながら、来年度も予算を十分に確保していただくようにお願いいたします。