2015/03/26

地方移住者が4年で約3倍、人気上位の移住先はどこが魅力なのか


2015年03月26日 週プレNEWS
http://yukan-news.ameba.jp/20150326-11/

ここ最近、都会での暮らしに見切りをつけて、田舎で第二の人生を始める人が増えているらしいーー。 ちょっと興味はあるけれど、都会で生まれ育った人が地方移住の実際をイメージするのは難しいはず。そこで、ブームの背景から人気の移住先まで、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」副事務局長・嵩(かさみ)和雄さん、『田舎暮らしの本』(宝島社)編集長・柳順一さんのふたりに聞いてみた。 

●なぜ今、地方移住が盛り上がっているの? 

移住者の数は2013年度で8169人、この4年間で2.9倍に増えたというデータがあるが「それはあくまで自治体の支援策を利用して移住した人の数。自治体を経由せずに移住した人を含めると、実数は2万人近くに膨らむのでは」と嵩さんは分析する。 

「2000年代前半は定年退職後に地方移住する中高年層が比較的多く、団塊世代の大量退職が始まった07年以降、この層の移住がさらに加速しました。その後、08年のリーマン・ショックを受けて、今度は20代、30代の単身移住者が一気に増えます。『東京で仕事がなくなったから地方で農業でもしようかな』といった、ある種の“消極的な田舎暮らし”を選択するパターンですね。当時、地方の新規就農イベントにはリクルートスーツ姿の若者が殺到しました。 

そして東日本大震災が発生すると、今度は小さな子供を持つ首都圏のファミリー層を中心に“疎開的移住者”が急増。放射能汚染や震災リスクを避けるように西日本へ移住する人が現れました。同時に、震災を機に若者の間でライフスタイルを見直す傾向が強まり、『閉塞感のある都会より地方にこそ可能性がある』と積極的に移住する若者も増加しました。 

現在、リーマン・ショックと震災というふたつの山を経て、20代から団塊まで幅広い世代が移住を望むようになっています」 

また、各自治体が移住支援を拡充させている点も増加の要因だ。 

「『移住世帯に20万円交付』『新築住宅に最大100万円の補助』『保育料の減免』など自治体の移住支援策は年々充実しています。安倍政権が掲げる地方創生には、地方への人の流れを作るための施策が盛り込まれており、今後は若者の移住者を獲得するための地域間競争がますます激化するでしょう」


●人気の移住先はどこか? 

『田舎暮らしの本』2015年2月号「住みたい田舎ベストランキング」によると、若者(20代、30代)が移住したい都道府県は、1位長野、2位北海道、3位沖縄、4位岡山、5位千葉となっている。 

この順位について、柳さんが解説する。 

「長野県は信州ブランドで人気No.1。日本アルプス、古民家、棚田、そば…と古きよき日本のイメージにピッタリなんです。首都圏と中京圏両側からのアクセスがいい点も人気の理由」 

北海道、沖縄は観光地としても人気だが…。 

「『雄大な自然や現地の人々の温かさに癒やされたい』といったイメージで移住する方が多いんですね。ただ、真冬の北海道の予想以上の寒さ、意外にシャイな沖縄の方にギャップを感じ、都会に戻られる方もいます」(嵩さん) 

4位の岡山県は震災後、首都圏から“疎開的移住者”が増えたことが人気の理由だ。 

「特に岡山市は活断層がない上に太平洋沖で巨大地震が起きても津波被害が少ない可能性が高く、原発からも120km以上離れている。災害リスクが低い街として認知されています」(嵩さん) 

市町村別では、「108の手厚い移住支援メニューがある大分県豊後高田市、都市機能が充実していて首都圏へのアクセスもいい千葉県館山市などの人気が高い」(柳さん)という。

「ただし、地域によっては面談や書類審査を通じて“定住への本気度”や“人間性”を見極め、移住希望者を選別する動きも」(嵩さん) 

地方の衰退が深刻化する中、増加する移住者によって希望場所の格差も生じているのか…。

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