2016/06/27

<この人このまち>地産地消 丸森を元気に/宮城

2016年6月27日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201606/20160627_13037.html

東京電力福島第1原発事故の風評被害に悩む宮城県丸森町の大張地区に、カフェ「つぶっこ」が開店してから7月で3年を迎える。主婦だった佐藤真紀さん(52)が一念発起して起業した。復興と地産地消を目指し「地域を元気づけたい」と張り切る。
(角田支局・会田正宣)

◎カフェ「つぶっこ」店長・佐藤真紀さん(52)



 -起業のきっかけは。
「会社勤めの夫(55)が定年になったら夫の実家の丸森に戻り、サロンを開こうと考えていました。東日本大震災で1人暮らしの義父を放っておけなくなり、Uターンが早まりました」

「やるなら町のためにやりたいと思いました。原発事故後も、ここで暮らさなければならない人を元気にしたい。おしゃれなカフェで楽しんでもらおうと、自宅を改装し開店しました」

-地産地消をコンセプトにしています。
「大張地区が六穀米栽培に力を入れた直後に事故が起き、販売が難しくなりました。その六穀米を活用するため、お膳やシフォンケーキをメニュー化しました。養蚕が盛んだった地域なので、桑の実ソーダ水も提供しています。地元の食物をいただく身土不二の考えを大切にしており、心も体も喜んでほしいです」

-いわき市のNPOが手掛ける被災者支援事業「オーガニックコットンプロジェクト」に開店当初から参加していますね。
「プロジェクトの方が、起業セミナーの講師を務めていたのが縁でした。同じ放射能問題に悩む福島に協力したかったのです」

「町内の遊休農地10アールに、毎年ボランティアを募って会津産の和綿の種を植え、収穫した綿をいわきに送っています。各地からの綿で、仮設住宅に住む女性が女の子の赤ちゃんの人形『コットンベイブ』を作っています。今年3月に綿を送ると丸森産だけで人形を作ってくれました。小さな支援が実り、うれしかった」

-3年の手応えと今後の抱負は。
「生産者と消費者の触れ合いを大切にしようと毎年、庭先で『つぶっこ市』を開いてきました。今年は7月30日、斎理屋敷向かいの物産館『八雄館』で行います。ようやく地域になじめてきた感じです」

「5年に向けてセラピーを学び、心のケアのプログラムづくりを進めています。地域に温かい気持ちが広がる場でありたい。ささやかな積み重ねが町の再生につながればと思います」(月曜日掲載)

[さとう・まき] 63年横浜市生まれ。福島成蹊高卒。4人の子育てを終え、13年7月に体験交流型カフェ「つぶっこ」を開店。

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